思考記録場

日常生活の中で気になったことや、感じたこと、考えたことを記述するだけの場所。

5分の1の純情な感情

大学2年生になり、生命理学科へ進学した。その結果、大学の講義はほぼ得意な生物学になり、毎日楽しい学生ライフを過ごすことになった。

 

はずだった。

 

4ヶ月ほど生命理学科の講義を受けてみて、生物学を極めるためには数学、物理、化学、英語など、生物以外の科目を深く理解していなければならないことが判明した。遺伝子を極めるためにはトポロジーを理解せねばならず、生命現象を極めるためには熱力学や化学構造を理解せねばならない。更に、知識を増やすためには英語論文を読まなければならないし、最終的に研究者を目指すならば英語論文を書かなければならない。

 

生物学とは、他の全理科科目の応用なのではないか。私はとんでもない学問に足を踏み入れてしまったのではないか。研究者を目指しているが、もし生物学者になったら、ゴールのないマラソンを永遠に走り続けることになるんじゃないか。そんなことばかりを考えるようになった。

 

こうして私の感情の8割ほどは既に生物学を諦めてしまっているのだが、悲しいことに私は生物が好きという残り2割の感情を捨てきれない。私は生物が好きなんだと毎日8割に言い聞かせ、自分を騙し、重い身体を大学まで運んでいる。心が折れる日は近いだろう。心が折れたら私は……。

 

今はこの5分の1の純情な感情しか持ち合わせていないが、まだ希望はある。後期から実験が始まる。この実験で生物への感情を取り戻すことが出来るかもしれない。週10コマ(話によると頻繁に時間オーバーするらしい)というバカげた講義に私は人生を賭ける。

 

賭けに負けたその時は、誰でもいいので灰になった私を拾ってください。

 

もしかしたら、私は、心のどこかで、灰になってしまうことを望んでいるのかもしれない。