思考記録場

日常生活の中で気になったことや、感じたこと、考えたことを記述するだけの場所。

中立と無回答は髪一重

髪が伸びた。最後に切ったのがいつなのかすらも思い出せないほど伸びた。そろそろ切りたいとは思っているものの、散髪屋という空間があまり好きではない。伸びた髪が鬱陶しいという想いと、散髪屋に行くのが億劫だという想いを天秤にかけて、前者に傾いている。というのは嘘で、天秤はどちらにも傾かないまま時間が経過している。

 

こんな自分が社会人の一員になれるとは思わない。社会人は毎日髪をセットし、ヒゲを剃り、スーツを着ている。私は毎日髪をボサボサに伸ばし、ヒゲも剃らず、柄シャツを着ている。その様相は紛うことなき不適合者のそれであり、もしもベルトコンベアで社会人と私が流されていたら、パートのおばちゃんは即座に私を不良品と見定め、慣れた手付きで廃棄するだろう。おばちゃんに廃棄された私はどうしたらいいのだろうか。ゴミ収集車が拾いに来てくれるのだろうか。拾いに来てくれたとして、その先はどうなるのだろうか。地元のゴミ処理場でダイオキシンがでないほどの高温で燃やされてしまうのだろうか。排気でタービンを回して発電してしまうのだろうか。残った燃えカスは肥料となって田畑を豊かにするのだろうか。なんだ、悪くないな。

 

しかしながらこれはもしもの話であって、現実では社会人と私がベルトコンベアで流されることはないし、パートのおばちゃんは最低賃金で酷使されているし、ゴミ収集車は時間通りに来ないし地元のゴミ処理場は何年か前に閉鎖された。え?これ何の話?あ、そうそう髪が伸びた話。もう本当にノビノビしてる。くせ毛だからクルクルもしてる。私の髪の毛ってすごいのよ。クルクルして毛先が上に向いたりしてんのよ。怒髪じゃないけど天を衝いてんのよ。やっぱあれかな。天邪鬼な性格が髪にも影響及ぼしてんのかな。社会への反骨心が漏れ出して髪も重力に逆らってんのかな。はー、やっぱり社会人の一員になれるとは思わないね。ほら、だんだん自分がホームレスに見えてきた。下手したらホームレスの方がもうちょっとマシな髪型してる。もう終わりや。就活終わり。こんな髪型じゃどこ受けても内定無理や。どうせ多様性を受け入れる社会でもこの髪は受け入れてもらえへんわ。多様性を受け入れるにも限度があるから。てか、何を受け入れられるかは結局時代によるから。令和の価値観が受け入れられるようになった代わりに昭和の価値観は受け入れられなくなってきてるから。現代にそぐわない主義主張は瞬く間に炎上して排除されるから。領域が広がっているところだけ注目されて、その影で縮小しているところは山のようにあるから。それが悪いとは言わんけどな。良いとも言わんけど。

 

あ、朝日やん。

 

天秤はまだ傾かない。