思考記録場

日常生活の中で気になったことや、感じたこと、考えたことを記述するだけの場所。

キモイ展

大学の講義中、教授がキモイ展というものに行ってきたと仰った。教授によると、そのキモイ展では大きなゴキブリを見ることができるらしい。行くしかないと思った。

 

帰宅した後、キモイ展について検索してみると、1月20日までしかやっていないことがわかった。この日は1月17日である。早く行くしかないと思った。

 

僕は1月19日にキモイ展に行くことにした。誰か誘ってみようと思ったが、「ゴキブリ見にいこうぜ!」と気軽に誘える友人が思いつかなかった。一般的な人はゴキブリなど見たくないということを僕は知っている。せっかく誘って嫌な思いをさせてしまうのは僕も嫌だ。僕は1人で行くことにした。

 

会場は栄のPARCO西館6階だ。知らない場所なので方向音痴の僕は辿り着く自信がなかったが、Googleのおかげで迷うことなく着いたように感じた。しかし、入場してみると、そこは迷宮だった。階段を登り6階へ向かったが、そこはオシャレな服屋のテナントばかりが入った空間だった。キモイ展とは程遠い。実際キモイ展は見当たらなかった。困ったので館内の地図を確認してみると、西館ではなく南館だった。辿り着いたと思ったが、辿り着いていなかった。何とか西館へ向かう連絡通路を見つけ、西館6階へ着いた。しかし、なんとここも服屋ばかりの空間であった。僕はいつも履きなれたヨレヨレのジーンズを着用しているので、こういうオシャレな空間は苦手だ。こんな所に本当にキモイ展は存在するのか。と思ったその時、館内の一角が漆黒であることを視認した。明らかに雰囲気が異質である。キモイ展だ!キモイ展は本当にあったんだ!ラ○ュタを見つけたパ○ーもきっとこんな心境だったのだろう。早速前売り券を取り出し、僕は天空の城へ入場した。

 

中へ入ると、早速ゴキブリの大群が出迎えてくれた。名前はトルキスタンローチと書かれていた。俗にいうレッドローチという種である。生で見るのは初めてだったので、とてもテンションが上がった。

 

しかし、その後中盤までは個人的に物足りない面子だった。タイガーサラマンダーやハイギョ、アフリカツメガエルなど、キモイというよりはカッコイイ生物が多く、ああ、一般受けを考えているなと思った。きっと「こんなの全然キモくないし〜」等と一般市民にイキらせて、気持ちよくなってもらうために彼らを展示しているのだろうと感じた。ちなみに、周りはカップルや子供連れの家族ばかりだった。一人で来ていたのは僕だけだった。

 

中盤までで気になった生物は、テキサスラットスネークという種のスケールレスという個体だ。劣性遺伝により鱗が消失、欠損しており、皮膚が弱い。説明文によると、マニアに人気があるらしい。僕はそこまでして鱗のない蛇を飼うくらいならアナゴでええやんと思った(ウナギは皮膚に埋没した鱗を持つのでダメ。しかも絶滅危惧種なので絶対ダメ)。

 

流石に終盤になると、キモイ展も本気を出してきた。マダガスカルオオゴキブリが展示されていた。かなりでかい。ここまで来るともはやカブトムシだ。なんならカブトムシよりでかい。僕はこのゴキブリの味が気になり、食べてみたいと思ったが、残念ながら食べることはできなかった。さらに、ヨロイモグラゴキブリも展示されていた。始めてみるゴキブリだったが、かなりでかい。ここまで来るともはやヒラタクワガタだ。なんならヒラタクワガタよりかっこいい。僕はこのゴキブリも食べてみたいと思ったが、残念ながら食べることはできなかった。教授の仰った大きなゴキブリはおそらくこの二種のことだろう。教授も味が気になったのだろうか?

 

他にもヤスデやウデムシなど、皆がキモイと悲鳴をあげるような生物が展示されており、終盤は明らかに皆の進むスピードが速くなった。僕はそれまでの牛歩のようなスピードにイライラしていたので、とても爽快な気分になった。気持ち悪い生物のおかげで、気持ちよくなれた。

 

最後に、このような掲示があった。
f:id:penguin60124:20190122092533j:image

感動した。確かに、このようなトリッキーな見た目の生物から生物多様性の重要さに思いを馳せることは、知識の少ない一般市民にも容易だろう。僕もこのキモイ展を企画した人のように、生物の尊さを人々に伝えられるような工夫のできる人間になりたいと思った。