思考記録場

日常生活の中で気になったことや、感じたこと、考えたことを記述するだけの場所。

やっぱり僕は姫路が好き

今、僕は名古屋へ向かう電車に乗っている。2週間ほど姫路の実家に帰省していたが、やっぱり僕は姫路が好きだ。

 

思い返せば、中学生の頃は地元が大嫌いだった。当時の僕にとって、姫路は何もないつまらない町だった。大人達はしきりに姫路城を褒め讃え、誇りに思うように刷り込んできたが、中学生からすれば姫路城は遊び場として至極不適切であり、好んで訪れるような場所でもなかった。近所の山や川の方が価値があるように思えた。そんな山や川でさえ毎週のように通えば流石に飽きるものであり、友人と夢前川の河川敷に座り込んでは、何もない町だなぁと言い合ったことを覚えている。

 

地元が大嫌いだったので、高校受験で遠方を選択するのは自然なことだった。付属の寮がある高校を選んだ。偏差値は僕の学力より多少低かったので中学の担任からは最後まで他の高校を勧められたが、この選択は間違いではなかったと思っている。僕が通っていた高校は自由な校風のお陰か個性を認めてもらえる、むしろ個性がない方がおかしいというような学校だった。のびのびと高校生活を過ごした僕は立派に変人となり、受験生にも関わらず同級生達と花火大会を催したりするようになった。

 

この花火大会は僕が地元を見直すきっかけとなった。先にも出てきた夢前川の河川敷で行ったのだが、僕は何もないつまらない場所だと思っていたこの河川敷を、友人達はいい町並みだと言った。その瞬間から、見慣れたはずの河川敷が少し煌めいて見えるようになった。

 

遊び回っていた受験生活の結果、センター試験は思いっきりずっこけた。浪人という文字が何度も頭に浮かんでは消えていく生活を送っていたが、遊び回っていた変人ぶりが評価され、推薦入試で名古屋大学に合格した。ちなみに、花火大会に来ていた他の同級生も軒並み現役合格を果たした。受験生はこぞって遊ぶべきである。

 

話を戻す。こうして兵庫県を離れ愛知県に住むことになった僕は、いやがおうにも自己紹介をする機会に出くわした。その度に姫路城は圧倒的な活躍を果たし、出会った人々に姫路の人という印象を与えることができた(それでも神戸の人と覚えられることもあった)。地元を離れたことで、かえって地元を振り返る機会が増え、いつの間にか地元が好きになっていった。

 

姫路駅に着く度に、姫路城が目に入る。姫路城が僕を出迎える。観光客からすれば迷いにくいだけのあの街並みは、僕にとっては帰郷を強く実感する風景になっていた。名古屋へ帰る時も然り、姫路城が僕を送り出す。いつしか大人達が言っていたように、姫路城は僕の誇りになった。

 

2週間も姫路にいたというのに、いざ帰るとなるとやり残したことがあるように思う。地元に後ろ髪を引かれているように感じてならない。郷土愛が日を追う事に増していく。

 

やっぱり僕は姫路が好きだ。