思考記録場

日常生活の中で気になったことや、感じたこと、考えたことを記述するだけの場所。

不憫な友人

これは僕の話ではなく、友人(以下A)の話だ。あまりにも不憫だったので、僕はAに、ブログを開設して愚痴を吐き出したらどうかと提案した。するとAは、僕のブログに書いてもいいよと言ってきた。ネタを提供されたので、全力でここに記す。Aのために多少のフェイクを混ぜるが、内容はほぼノンフィクションである。

 

Aは部活仲間と7人で旅行に出かけたらしい。7人乗りの、座席が3列あるタイプの自動車で移動することになっており、Aは一番後ろの3列目に座った。泊まりの旅行ということで、Aはそこそこの荷物が入ったリュックを持参していた。しかし、自動車の3列目は狭い。座席にリュックを置いてしまうと隣に座る部活仲間(以下B)に迷惑をかけてしまう。そう考えたAは自分のリュックを膝の上に置いた。

 

しかし、Bは自分の荷物を自分の隣、窓側の座席にねじ込んだ。よって、Bは座席の中央を大きくはみ出し、Aと密着する状態になった。Aはえも言われぬ圧迫感に襲われた。

 

ここまで話を聞いた僕は、AとBはかなり仲がいいのだろうと思った。密着して座りたがるほど仲が良く、ドライブ中はさぞ話が盛り上がったのだろうと思った。しかし、A曰く、Bとはそれほど仲がいい訳ではないそうだ。しかも、Bは前の座席に座っている他の部活仲間と積極的に話をしていたそうだ。

 

ここまで話を聞いた僕は、Aが少し不憫に思われた。大して仲の良くないBが密着していてパーソナルスペースを確保出来ず、Bが前の座席の人と話してしまったので、Аは話す人がいない。そして思い出して欲しい。狭い車内で、Aは膝の上にリュックを抱えている。さぞ閉塞感があったに違いない。会話が弾んでいる、大して仲の良くないBに、密着していて狭いことを訴えられるほどAは心が強くなかった。こうして、長いドライブの間、Aは寝たフリを続けたそうだ。「Aが寝てるー」という部活仲間の声を何度も耳にしたらしい。

 

ここまで話を聞いた僕は、Aがとても不憫に思われた。部活仲間が楽しそうに話す中で寝たフリを続けるAの心境を考えると、可哀想すぎて心が痛んだ。A曰く、ドライブは6時間ほど続いたらしい。A、お前はよく耐えたよ。頑張ったよ。早く幸せになってくれ。

 

ここまで話を聞いた皆さんは、Bはそこまで悪い奴ではないと思っているかもしれない。全くもってその通りで、座席に荷物を置いたことも、前に座っている友人と会話したことも、Bにはなんの悪意もない。Bは悪くはないし、他の部活仲間も悪くはない。そしてもちろんAも悪くはない。この話は誰も悪くないのだ。ただ、Aが周りに気を使った結果、悲しい思いをしただけなのだ。誰も悪くないのに悲しい思いをするAが不憫でたまらない。

 

ここまで話を聞いた皆さんは、Aの性格が分かってきたと思う。Aは人に文句が言えない。周りの空気を壊さないために、不満は全て溜め込んでしまうタイプだ。僕は将来的にAが酒に溺れるのではないかと危惧している。毎日職場に不満を抱え、家に帰ってきては冷蔵庫を開け、キンキンに冷えたビールを胃に流し込むAが容易に想像出来る。僕はAの健康が心配だ。定期的にAの愚痴を聞いてあげたい。