思考記録場

日常生活の中で気になったことや、感じたこと、考えたことを記述するだけの場所。

まま冷蔵&シュガースポット

祖母はよくバナナを買っていた。いつ、誰が食べていたのかは全く記憶にないが、冷蔵庫を開けると、そこにはいつもバナナがあった。それが僕の日常だったので、バナナは冷蔵庫で保存するものだと思って今まで生きてきた。

 

先月の中頃、僕は何気なくバナナを購入し、袋に包まれたまま冷蔵庫に入れた。すると、数日たっただけで傷んでしまった。シュガースポットとは呼べないほどに先端が真っ黒になっていた。

 

バナナ自体は美味しかったので、次の日もバナナを買って冷蔵庫に入れた。前回の反省を活かし、シュガースポットの少ない、どちらかと言うと未熟なバナナを選んで購入した。しかしながら、バナナはすぐに傷んでしまった。

 

ここで僕は初めて違和感を覚えた。僕は未熟なバナナを選んで購入したのだ。バナナとはこんなに早く傷むものだろうか。これはおかしい。

 

僕はバナナに関する知識を思い返した。バナナ、統計はインド、中国、フィリピン、ブラジル、エクアドル。僕が受験生の頃は第10位がブルンジだったが、最新のデータブックでは圏外。日本の主な輸入先はフィリピンだが、世界的にはエクアドルの方が輸出量が多い。昔は台湾バナナが幅を利かせていたが、台風の影響で収穫量が安定せず、徐々にエクアドル産に代わっていった。僕のバイト先のスーパーは稀に台湾産を仕入れているが、値段は高い。某頂点価値はコロンビア産のものがある。昼夜の気温差が大きいと美味しくなる傾向にあり、新期造山帯で高地が多いフィリピンは栽培に向いている。原産地はマレーシアなどの熱帯アジアで、パプアニューギニアが最初に栽培を……ん?原産地は熱帯アジア???

 

そう、バナナは熱帯の植物だ。暑い気候を好む植物だ。僕は初めて、バナナは冷蔵庫に入れるのではなく、常温で保存した方が良い可能性に気がついた。思い返してみれば、うちのスーパーはバナナを冷蔵の棚ではなく常温の棚で販売しているし、バックヤードでも常温で保存している。そもそも冷蔵庫に入れているところを見たことがない。

 

僕はもう一度バナナを買って、常温で保存してみた。すると、やはり傷むペースは落ちた。シュガースポットは徐々に増え、甘くて美味しいバナナになった。新たな発見だった。

 

僕は今まで、バナナは冷蔵庫に入れるものだという固定観念がこびりつき、脳から離れなくなっていた。冷蔵庫に入れることが当然だと無意識に信じ込み、疑うことすらなかった。恥ずかしく思う。

 

この誤った固定観念を砕いてくれたのが知識だった。やはり知識は素晴らしい。知識は日常生活の中で小さな発見を与えてくれる。この小さな発見が僕を楽しませてくれる。僕は小さなシュガースポットを見つめながら、これからも勉強を続けていくことを決意した。